デザインにおける余白の意味。心のゆとりと創造性を考える
つれづれクリエイティブ vol.1「余白」
デザイン、アート、文化、日々の気づき。ものづくりの視点から、ちょっと気になることを気ままに綴ります。
デザインでは「余白が大切」とよく言われます。
文字や写真などの要素をぎゅうぎゅうに詰め込まず、適度な空間を設ける。要素と余白の絶妙なバランスによって、紙面に流れが生まれ、情報が伝わりやすくなります。
余白は、単なる空きスペースではありません。見る人に考える時間を与え、気持ちにもゆとりを生み出してくれます。
余白はコミュニケーションにも必要
これは日常のコミュニケーションにも似ています。
知っていることをすべて話したり、情報を一方的に詰め込んだりしても、相手には意外と伝わっていないものです。
大切なのは、伝えることを諦めるのではなく、場所や大きさ、タイミングを考えること。デザインにもTPOがあるのです。
もちろん、余白ばかりでスカスカなのも色気がありません。
盛り上げたいときには、あえて文字や要素を密集させ、勢いや熱量を伝えることもあります。
デザインは、誰に何を伝えたいかによってその効果も変化します。
腹八分目と音楽の休符
腹八分目というのも、ひとつの余白かもしれません。
もうちょっと食べたい、というところで抑えておく。その先に、次の楽しみや意欲が生まれます。
音楽にも休符があります。音を鳴らさない時間があるからこそ、音の響きやリズムが引き立つ。ずっと鳴りっぱなしでは、聴く方も疲れてしまいますよね。若く体力があればまた違いますが。
余白は、次の何かを楽しむための準備でもあるのでしょう。
徒然草に見る「用のない場所」の価値
余白について考えていると、ふと吉田兼好の『徒然草』を思い出します。
第五十五段には、家の造りについて、こんな一節があります。
造作は、用なき所をつくりたる、見るもおもしろく、よろづの用にも立ちてよし。
(現代語訳:家の造りには、特に用途を決めない場所を設けておくと、見た目にも趣があり、さまざまな用途にも役立ってよい。)
あらかじめ使い道を決めていない場所だからこそ、必要になったときにいろいろな使い方ができる。
何もないことが、かえって多くの可能性を生み出すという考え方です。
余白は、伸び代であり可能性
余白は、何かが足りない状態ではなく、これから何かが生まれるための空間なのかもしれません。
デザインも、アートも、仕事も、そして日々の暮らしも。
すべてを埋め尽くすのではなく、少しの余裕を残しておきたい。
気持ちにも、表現にも、ほんの少しの余白を。
何もないように見える場所にこそ、次の何かが生まれるのかもしれません。
マサキーアートのクリエイティブメモ
デザインやものづくりは、単に見た目を整えたり、情報を詰め込んだりすることではありません。誰に、何を、どのように届けるか。その先にある体験まで考えることも、クリエイティブの大切な役割です。
そんな日々の気づきや、デザイン・アート・文化についてのあれこれを、気ままに綴っていきます。

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